モノプラル外壁のウソ・ホント!?


P5200324_640_txt.jpg外壁材の中には特殊な物や海外からの輸入材料などがありますが、その中に「モノプラル」という素敵な素材の外壁があります。
素敵なのは良いのですが物件数や施行例が少ないため、メンテナンスの時期や方法で事実と違う情報が流れているようです。

そこで今回は花まるリフォームで施工を行った実績を元に、モノプラル外壁の塗り替えについてのポイントについてお伝えします。


モノプラルとは


モノプラルKSは「フランス風漆喰」の輸入外壁材です。
日本では1996年2月に日綜ゲーテハウス建材(株)※が仏Weber et Broutin 社と総代理店契約締結して「モノプラルKS」として販売を開始しました。
(※現在はゲーテハウス株式会社)

詳しくは公式ホームページをご覧下さい→モノプラルKS

モノプラル外壁の7つの特徴(メーカーサイトからのまとめ)


モノプラル外壁に付いて、まずはメーカーホームページからの情報をまとめてみます。

石灰質の壁

  • 素材は生石灰が主成分で、石化する作用により耐久性が増す

メンテナンス性

  • 外気中の汚れが付着しにくく防水性もあるため、薬品洗浄による汚れ落としが可能

ライフサイクルコスト性

  • 吹付タイルやスタッコのような7~10年後の吹き直しは不要

耐汚染

  • 天然無機塗材の性質上、表面に静電気が発生しづらい為、空気中の汚れが付着しにくい

耐退色性

  • 長期にわたり色褪せ・色落ちがほとんどなく、重厚な色合いに経年変化する

呼吸する壁

  • 長期的に防水効果を持続し、壁が呼吸することにより壁内結露を起こしにくくなる

意匠性

  • 厚塗りが可能な製品のため、彫刻等の装飾デザインの施工が可能




一般的なモノプラル外壁の評判(メリット・デメリット)

次に、一般的に言われていたりネット上でのモノプラルの評判や感想などをまとめてみました。


モノプラルのメリット

  • メンテナンス不要
  • 汚れが気になるなら洗浄するだけだけで塗り替えは不要
  • 文化財の修復にも用いられるほどのクオリティーを目指して開発されたもの
  • 一層上塗り仕上げ材なので、一度塗るだけの簡単施工。工期が著しく短縮できる
  • 職人さんの腕による仕上がりのばらつきの心配が無い
  • 重厚な印象に仕上がる

モノプラルのデメリット

  • 冬季の施工は白華現象が起こりやすい
  • 熟練工でも施工が少々難しい
  • 窓廻りなどはクラックが入る
  • 早ければ5年で塗り替える方もいる

モノプラル外壁の経年劣化の実際を見に行ける施設

箱根にある星の王子様ミュージアムのの外壁はモノプラルKSで出来ているので誰でも参考に見に行けます。(1998年1月施工)

星の王子さまミュージアムホームページ 星の王子さまミュージアムたまたま星の王子さまミュージアムに行った時の写真がありました。

星の王子さまミュージアムの実例でも分かる通り、モノプラル外壁は良い感じで汚れて行きます。風合いが良い感じとは言えますが、実際自分の家が汚れて見えて「風合いが良いなぁ~」と思えるかは個人差があると思います。



モノプラル外壁の4つの経年事例


さてここで、花まるリフォームで実際に確認したモノプラル外壁の事例をご紹介しましょう。

ケース① 中野区A様邸

モノプラル外壁の汚れ①玄関正面が全体的に汚れてしまっている

モノプラル外壁の汚れ①

汚れ部分の拡大


ケース② 西東京市M様邸

モノプラル外壁の汚れ②外壁全面が汚れてしまっている(東/北面)

モノプラル外壁の汚れ②

汚れ部分の拡大(南面)


ケース③ 杉並区H様邸

杉並区H様邸モノプラルの汚れ事例玄関擁壁内が異常に汚れてしまっている

杉並区H様邸モノプラルの汚れ事例②

汚れ部分がとにかく目に入ります



ケース④ 小平市K様邸

西東京市K様邸モノプラルの汚れ①西側が全体的に汚れてしまっている

西東京市K様邸モノプラルの汚れ②サイクルポートの屋根から跳ねた雨水が外壁を汚している



モノプラル外壁はメンテナンス系の情報に問題あり?

上記の事例を踏まえて、モノプラルのメンテナンスについてのリアルな情報をお伝えしましょう。

モノプラルはメンテナンスフリーでは無い

モノプラルのメリットには「メンテナンスフリー」というものがありましたが、残念ながらそう上手くは行きません。

※メーカーのホームページには「吹付タイルやスタッコのような7~10年後の吹き直しは不要です」と書かれていますので「10年後以降にはメンテナンスが必要である」と言っているのと同じ事ですね。

モノプラルは特に超寿命では無い

また実際は吹き付けタイルやスタッコでも7~10年後の塗り替えは不要なので、この文章からするとモノプラルのメンテナンス性は一般外壁材と同じ事になります。

特殊な建材使う場合は新築時の期待し過ぎ(勘違い)に注意!

新築時にこのような特殊な素材を使うときには、ついつい営業マンのセールストークも実質よりも150%程度盛り上げて話しがちになるようです。


そこでモノプラル外壁にお住いの方は「このモノプラル外壁はメンテナンスフリーなんだ!と勘違いしてしまう方が多く、15年程してから外壁がとても汚れてしまって弊社にお問い合わせを頂くケースが増えて来ました。



モノプラル外壁のリアルな経年劣化の特徴と解説


では、実際にモノプラル外壁を使った日本の木造住宅ではどのように経年劣化していくのでしょうか?
上記4事例を元に解説していきます。

モノプラル外壁の経年劣化の特徴① 汚れる

モノプラルの経年劣化の特徴①汚れる

モノプラル外壁で弊社にお問い合わせが来る場合には、必ず「外壁の汚れが気になって...」という悩みがあります。
建物の創りによっては汚れにくい家もあると思いますが、他の素材と比較すると、モノプラル外壁は汚れ方が激しい傾向にあります。


モノプラル外壁の経年劣化の特徴② 石粒が落ちる

手で触ると外壁が落ちて来る

手で外壁を触ると、パラパラと落ちて来る

自然に落ちてバルコニーの隅に溜まっていたモノプラル外壁の石粒

落ちた石粒がバルコニーの隅に溜まっているう事もある。


モノプラル外壁の経年劣化の特徴③ 雨水が浸透しやすくなる

モノプラルの経年劣化の特徴③弱った部分から水が浸み込む

弱った部分から水が浸透する

水が浸みると、中の防水シートを傷め、雨漏りに繋がる

水が浸みると、中の透湿防水シートを傷める。
雨漏りに繋がりかねない


モノプラル外壁の経年劣化の特徴④ ヒビ割れと複合すると雨漏りが心配

ひび割れからの雨漏りが心配

外壁が汚れている場所は、雨水の通り見道。
そこにヒビ割れが起き、透湿防水シートが破けてしまうと、かなり雨漏りの危険が増す。



モノプラル外壁のメンテナンスの時期のサインや特徴


以上の事から、モノプラル外壁のメンテナンスでは10年程度で経年劣化から塗り替えメンテナンスが必要になる場合が十分にあると言えます。

そのメンテナンスの時期のサインや特徴を以下にまとめてみましたが、以下の自己診断が出来ない場合は、10年を目途に汚れやヒビ割れが無くても専門家の診断を受けた方が良いでしょう。

  • 部分的に汚れている所が出ていないか確認する(他の外壁と同じ塗り替えのサイン)
  • ひび割れが無いか確認する(上記同様)
  • よく日が当たり雨風にさらされる場所で、表面の石粒が落ちてこないかを確認する(モノプラル特有の塗り替えのサイン)
  • バルコニーや土間コンクリートの上などにモノプラル外壁から落ちた石粒が無いか確認する(上記同様)


モノプラル外壁の塗替えで特に注意したいこと


最後に、モノプラル外壁の塗替えで特に注意したい一番大事なことをお伝えします。

モノプラル外壁は特殊な素材なので、そもそも知らない・聞いた事が無いという人が見積り担当者になると大変です。
上記のポイントやモノプラルの特性を知らないで工事の設計や塗料の選定をされてしまうと、後で外壁がボロボロ剥がれてしまう場合があります。

モノプラル外壁の施工で一番大切な事は下塗り材の選定

剥がれるように塗られてしまう最大の要因は、下塗り材の選定間違いです。
下塗り材の選定は、全ての塗装工事のキモになりますが、モノプラルなど「下地がポロポロ落ちてしまう外壁」の場合は特に注意が必要です。

外壁がポロポロ落ちてしまう理由

触ると落ちてしまう外壁のイメージは、昔の和室の京壁のようなものです。
砂が壁に付いているだけのようなものなので、そこにいくら良い塗料を塗っても下地の砂が剥がれてしまいます。
下手をすると、塗った後で乾く時にすぐ剥がれてきてしまう場合もあります。

モノプラル外壁も最初の10年程度であればそのようには落ちて来ないのでしょう。
また「時間と共に石化する」と言うのなら、だんだん固まっていくイメージですが事実はその真逆です。

どうやらよくある「石材調吹き付け外壁材」と同じように「石粒を接着剤で固めているような外壁」のように、紫外線劣化により表面から石と石の接着力が低下してしまいボロボロと落ちているようにしか思えません。
※石化してくれると落ちて来ないハズなのですが、そうは行かないようです。

落ちてしまう外壁下地には、どんな下塗りを塗れば良いのか?

接着力が無くなって砂状になってしまった下地の上には、一般的な塗料で塗っても剥がれるだけです。
その上には適した塗料を塗らなければなりません。
塗料の種類は下塗り材と上塗り材に分かれますが、実は下塗り材にも適材適所に合わせた沢山の種類があります。

特にこのような場合には一般的な下塗り材では無く、下地の奥まで浸透してガッチリ固める事が求められますので、そんな下塗り材から選ばなければなりません。

一般的に良く使われる下塗り材は「微弾性フィーラー」や「微弾性サーフェーサー」等と呼ばれていますが、これらを砂っぽい下地に塗ると確実に剥がれるので危険です。

プロはどうやって下塗り材の選定をするのか?

見積りをする時には、面積や外壁の上塗り材の事も大切ですが、下塗り材の選定が一番大事な仕事です。

この適材適所に合わせた下塗り材の選定こそが見積り仕様を決める重要な部分であり、見積り担当者のスキルが試される部分でもあるのです。

モノプラル外壁の場合は現状の下地の状態を判断して、浸透するシーラー(浸透性シーラー)の中から適切な下塗り材を選場なければいけないのです。

それを正しく行うのには、商品知識と「経験と勘」が必要です。
ですから、モノプラル外壁の塗替えを検討する場合には、確実に施工実績のある会社に頼んだ方が安全です。
(手前味噌になってしまいますが、大手やチェーン店の営業マンには分からない判断だと思います)

※お願い

下塗り塗料の選定についてのご質問にはお答えできない場合がありますので、ご了承ください。

弊社施工範囲の場合はお見積りのご依頼を頂ければ確実な下塗り塗料の判断が可能ですので、お気軽にお問い合わせ下さい。


モノプラルの風合いをそのままに、長持ちさせたい場合

モノプラル外壁はその風合いと高級感・重厚感が素敵な素材だと個人的には思います。
もしもこの風合いを長持ちさせたい場合には、新築時からクリヤーのコーティングを行い、汚れる前(約5年~10年以内)を目途に足場を掛けてクリヤーコーティングを繰り返し行えば可能かと思います。

これは、風合いを重視する外壁材全てに言えます(多色刷りサイディングや石材調の吹き付け塗装など)
今の風合いを維持するには、劣化させてしまったり汚れてしまったりすると元には戻らないのです。

単色塗りの塗装の場合は悪い表現かもしれませんが補修が効きますし、下地が汚れてしまっても塗り潰してしまうので問題が少ないのです。


まとめ

ここまでモノプラル外壁の特徴やメリット・デメリットをお伝えしてきました。
2017年現在、どんな外壁材でも「メンテナンスフリー」というのは無く、モノプラルも例外ではありません。

モノプラルは特殊で素敵な外壁ですが、そのままの風合いを維持していくには少々ハードルが高いでしょう。
出来れば新築時にこの情報を得て頂いて納得した上で選んで頂くのが良いと思います。

新築の営業マンさんには是非「メンテナンスフリー」という言葉は使わないようにして欲しいものです。


モノプラルの施工事例

杉並区 H様邸 外壁施工事例(2015年7月25日 完工)

モノプラル外壁の施工事例(杉並区H様邸) 杉並区H様邸外壁施工事例

小平市 K様邸 外壁施工事例(2017年1月31日 完工)

小平市 K様邸 外壁施工事例(2017年1月31日 完工) 小平市 K様邸 外壁施工事例(2017年1月31日 完工)

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