外壁塗装の見積り比較で必要な7つのポイント


外壁塗装の見積もりは3社から取って比較しましょう」とは言うものの、実際に見積もりを取ってみると意外に比較するのが難しいことが分かります。

そこで、見積りを取って比較する前の予備知識として「外壁塗装の見積もりでよくある7つのポイント」をまとめてみました。

見積り書が揃ってから驚く前に「こんな事があるかもしれない」という予備知識があれば慌てずに済みます。
是非参考にしてみてください。

  1. 塗装面積は床面積で計算して良いの?

  2. 見積もり書式にはルールが無い!?

  3. 数量が誤差の範囲を超えて結構違う

  4. 足場の数量の違いについて

  5. 足場が無料という業者がいる

  6. 諸経費10%以上って高くない?

  7. 塗料の種類が選べない業者

  8. まとめ



1・ 塗装面積は床面積で計算して良いの?

平面図.jpg

外壁塗装の見積りをよく比較してみると、
床面積×単価】で金額を計算している業者と、
外壁の面積×単価】で金額を計算している業者がいます。

不思議なのは、大手ハウスメーカーと激安業者の見積りに床面積による計算が多いことです。


ハウスメーカーのほとんどは10年点検のお知らせと一緒に外壁塗装の見積りも送られて来ることがあるようです。
自社物件ですから当然図面が手元に残っています。
新築の金額の出し方が【床面積×単価】なので、その方式が流用されているのかもしれません。

また、激安業者の多くも床面積を基準にした料金で見積りが決まることが多いようです。
外壁を塗るのですから当然点検や診断が必要なのですが、外壁を診なければそんな知識は必要ありません。
知識も経験も無い【営業マン・セールスマン】でも簡単に見積りが出来る仕組みなので、その方式が採用されているのかもしれません。

冷静に考えれば床面積と外壁の面積は関係ありません
正方形の家と長方形の家では床面積が同じでも外壁の面積は長方形の方が多くなります。
また、床面積だと家の高さも無視されてしまいますね。

「その建物を建てた会社にメンテナンスを任せる」というのも自然な流れです。
プロに頼むのだから「安くてもちゃんと工事をするだろう」と思うのも当然のことです。
ですから金額の算出方法が不自然にも関わらず採用され続けているのだと思います。

しかし、外壁塗装を行うための「見積り」ですから、外壁を塗る面積で数量を出さなければ見積りの意味がありません


≫見積もり書を正しく判断する目安①「数量の単位を見てみよう」


2・ 見積もり書式にはルールが無い!?

don-199050_640.jpg上記の算出方法の違い程ではないにせよ、外壁塗装の見積り書の書式には特にルールがありません

各社が【独自の調査方法で判断して・独自の計算方法で数量を出して・独自の書式で書面にして
そして出来たものが皆さんのお手元に届くわけです。

内容や計算方法・項目がバラバラの見積りからどこか1社、工事を依頼する業者を選ばなければいけないのです。


正直、我々プロの業者でもなければ見積り項目の違いを察して比較するのは難しいです。

となると、皆様に分かるのは「工事金額の総額の違い」になります。


どの業者もそれは分かっているのですから、見積りを分かりやすく作るか・分かりにくく作るかで、業者の誠意がある程度分かります

わざと分かりにくく、一見安そうに見える見積もりを作り、後で追加工事にするような見積りもあります。
また、なるべく分かりやすく、選びやすく項目に分けるなどの工夫を凝らした見積もりもあります。

外壁塗装もリフォームも、見積書に専門用語が混じってしまうのは仕方がありません。
ですから、業者の方でもお客様に「そうだと思わなかった!」と後で言われても困るはずです。

「よく見てもわからない」で済ませてしまうと、結局工事が始まってからも何もわからないままで終わられてしまう事になりかねませんので、やはり見積書の中身は理解できるまで解説をしてもらうことが重要です

≫見積もり書を正しく判断する目安②「見積り書式の一般的な例」



3・ 数量が誤差の範囲を超えて結構違う

centimeter-15577_640.jpg上記のように、見積り書が各社が別々の計算方式やフォーマットで作ってあるのは、一般的に知られていません。

ですから見積り書を細かく見ようとしてもあまり分からないので、結局総額で判断しがちです。

それでも何とか各社の違いを判断しようとすると、単価以外にも判断出来そうな項目「数量」の違いに着目することが出来ます
当然見積りは【単価×数量】ですから、金額にも直結してくる要素です。


数量の違いについて一番多く頂くご質問は、足場や塗装の面積(数量)の違いに関するものです

先ほどのように、下請け業者の見積りをそのまま書き写す場合も多いので、数量が違う場合にはその理由や計算方法を聞いてみるのも良いかもしれません。
実際に私が経験した例で言うと、大抵は「花まるさんは他社より面積が多いんだけど・・・」と言われることがほとんどです。
まあ、「面積が少ないんだけど・・・」という場合には誰も何も言ってくれはしないのでしょうけど(笑)

そこで私の場合には、自分でしっかり計算をしている自信があるので全ての計算式をFAXで送って確認してもらい、納得して頂いてご依頼頂いたこともありました。

実際の数量の誤差に関しては、10%程度が許容範囲かと思います。
見積りは算出方法の違いによって下記のようなパターンが考えられます。

① 数量大め×単価低め→一般的な範囲の業者
② 数量少な目×単価高め→一般的な範囲の業者
③ 数量少な目×単価低め→手抜き業者
④ 数量多め×単価高め→ボッタクリ業者

≫見積もり書を正しく判断する目安③「見積りに記載される数量の計り方」


4・ 足場の数量の違いについて


P9030160.jpg上記の①②の場合には、数量の誤差と単価の誤差が相殺されていれば問題がありません。

なぜそのような差が生まれてしまうのでしょうか?
その差が生まれてしまう具体例として、ここで足場の計算方法の違いを解説してみましょう。
足場の数量の測り方の基準は主に下記の3通りがあります。

① 足場を掛ける面積で数量を出す 

当然なのですが、足場は家の外壁から離れて柱が建ちます。

おおむね外壁から60センチほど外側に柱を建てられれば塗装用の足場としては最適です。

この計り方の場合、外壁の面積×1.3倍程度が足場の面積になります。
(外壁の塗装面積は、外壁面積-窓の面積になります)


② 家の外壁の面積で足場の面積を出す 

この場合は建物の外周を足場の面積として計算します。

上記の例で言うと、外壁面積=足場面積となります。

ですから上記①の方式で計算してある見積りと比べると、面積(数量)は少なくなります。

一般的に言えば、その分単価が1.3倍高くなっているはずです


③ 実際に足場を建てる部分を省略している場合 

本当は必要な足場を掛ける面積を省き、足場の料金を減額して受注しやすい見積り金額を目指すこともあるようです。

これは「手抜き」とは言えませんが「安かろう・悪かろう」の部類になるでしょうか。

足場がしっかりしていないと良い仕事が出来ないばかりか、職人が落下する危険や塗料の飛散などの危険があります。

≫見積もり書を正しく判断する目安④「見積り項目の【足場】の部分に注目してみると...」



5・ 足場が無料という業者がいる


P1210147.jpg外壁塗装で「高い!」と感じる1番の項目は「足場代」でしょう。

これが無ければなぁ~・・・と思いたい気持ちはよく分かります。
足場は後に残るものでは無いので、勿体無い気がしてしまいます。

そこで「足場代無料!」と言われたら、なんだかお得な気がしてしまいます。
しかし賢明な方なら気付かれるとは思いますが、本当に足場代が無料になる訳は無く、そのように見積もり書面上しているだけです。

仮に無料の足場だとすると、不十分な足場でも良いことになってしまいます。

もしかしたら、たまに見かける外から外壁が見えている【未完成のような足場】はそういう事なのかも知れません。
道端から見ると足場が掛かっていない部分があって、外壁が見えていたり、明らかに省略されていて「スカスカの足場」があります。
作業をするのにとても危ないですし、塗料も風で飛んでいき、ご近隣の家や車にペンキが飛散してしまいます。
そのような危ない足場で適切な工事が出来るはずがありません

作業の安全性は作業の質にも関わって来る重要なポイントです。
足場無料!という甘い言葉には裏があることも忘れずにいることが大切です。

≫見積もり書を正しく判断する目安⑤「足場を値引きする業者に手抜き業者が多い理由」


6・ 諸経費10%以上って高くない?


640px-Tokyo_Marunouchi01s3872.jpg次に「高い!」と思われるポイントは【諸経費】でしょう。
これは、ハッキリ言って感じた通りの場合が多いです。

「諸経費とは」で検索すると、一般社団法人工事金額適正化推進協会のホームページでは次のような解説がなされています。

見積書の中で、もっとも不明朗と思われている項目が「諸経費」です。

詳細な内訳書のついている見積書でも、諸経費の単位は一式で、大きな金額が載っています。 親切な見積書でも、諸経費が現場管理費と一般管理費に分かれている程度で、 それ以上の詳しい内容は記載されていないのが一般的です。 しかしながら、お客さまにとっては記載された諸経費が、高いのか安いのか、 それとも妥当な金額なのか、確認のしようがないため、疑問の種になります。

見積もり額の5%~10%程度が一般的には多いようですが、15%程度の諸経費が計上されている場合もあります。
そもそも「項目として挙げられない諸々の経費」という意味が【諸経費一式】となっているのですから、15%もの費用なら項目として分別出来る筈ですね。

本来であれば諸経費は何のための費用なのかを項目だけでも記載されていれば不明瞭感も払拭出来るのでは無いかと思うのですが、それをしないというのは何か後ろめたい理由があると勘繰られても仕方が無いでしょう。

≫見積もり書を正しく判断する目安⑥「諸経費の中身を明確にしてみると・・・」

7・ 塗料の種類が選ない業者

P7030659 - コピー.jpgこれは私が普段から疑問に思っていることでもあります。
今の時代、外壁塗装の見積もりで1種類の塗料しか選べないというのは有り得ないと思うのですが、実際にはまだ半分以上の業者さんが1つの塗料の見積もりしか作っていないようです。

確かに塗料は他の商品と比べると比較が難しいのは分かります。
しかし、だからこそ業者がきちんと勉強して分かりやすく伝えなければならないのです。

そして見積り書類を作る前には必ず、外壁や屋根にどの塗料で見積りを作るか?の打ち合わせが必要です。

2016年現在の現状では、外壁が艶消しなのに艶有り塗料の見積もりしか出さない・・・という業者さんがほとんどです。
私はそれぞれの特徴を吟味した上でどちらかを選ぶのが望ましいと思うのですが、皆さんは塗料が選べる業者と選べない業者ではどちらが良いですか?

≫見積もり書を正しく判断する目安⑦「塗料の種類を正しくお勧めできる業者は意外と少ない!?」



まとめ


いかがでしたか?
外壁塗装は以下のような特徴があるので、簡単には決められない難しさがあります。
  • 費用が安くはない(相場が分からない)
  • 初めての方が多い(2回目でも前回のことを覚えていない)
  • 何回も行う事ではない
  • 手抜きやトラブルが多いと聞く
  • 信用できる業者を見つけるのにとても苦労する

ですから、業者を決めるところが一番重要で安易に決めてしまったばかりに後悔してしまう場合もあります。
見積もりをしっかり比較するには、見積書の中身を精査するための予備知識が必要になります。

このコラムでそうした部分での皆様の参考に少しでもなれれば幸いです。


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