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ペンキの臭いのウソ・ホント!?

ペンキのニオイ

油性塗料のメリット・デメリット


外壁塗装工事で使う塗料には【油性塗料】と【水性塗料】があります。
水性塗料はニオイがほぼありませんが油性塗料を塗った時にはニオイが出ます。

花のニオイは【匂い】と書き「香しい(かぐわしい)」と表現されるのに対し、ペンキのニオイは【臭い】と書き「臭い(くさい)」と表現されます。

私はペンキ屋の息子として生まれたので、臭いと言われるのがとても嫌だったので、今回のコラムはいつもより力が入ってしまいました。

さて前置きはともかく今回はそんな、外壁塗装の塗料選びをする時に必ず出るこの話題「油性塗料とニオイ」についてお伝えしたいと思います。


ペンキは臭うもの?

塗料=ペンキと言えば昔は全て油性でしたから、当然ニオイがありました。
今でも現場を通りかかる小学生ちゃん達は、塗装現場に水性塗料の一斗缶が置いてあっても「あっ!ペンキだ!!臭ぃい~!!」と言って大騒ぎしてくれます(笑)

また、お見積りに伺ったお宅のご主人様が「隣は油性で塗ってるよ、臭うから」とおっしゃるので窓から見てみると、こちらも水性塗料しか置いてありません。

このように「塗料は臭うもの」という先入観は老若男女を問わず一般的にあるようです。

ニオイの元は塗料では無い?

塗料用シンナーA(ペイントうすめ液)実は油性塗料のニオイは主に「塗料のニオイ」では無く「シンナーのニオイ」です。

塗料は液体ですが、乾燥する過程で不要な成分が空気中に出て行き、塗料成分が残って固まります。
ニオイの元は、この「シンナー成分=塗料の希釈液(うすめ液)」のニオイです。

水性塗料では「うすめ液」が「水」なので、ほぼ「臭わない」と言えます。

水性塗料にも「ニオイ」はある

水性塗料にもニオイはあるでは水性塗料は無臭かと言えば、そうでは無く微妙なニオイはあります。
ただそれが、くさいにおい(→漢字にすると「臭い臭い」!?)と感じるかが問題になってきます。

水性塗料でも学校の教室など、室内全部を塗っていると水性塗料特有のニオイがある事が分かります。
水性塗料のニオイは嫌なニオイでは無く、ちょっと甘い感じのニオイです。


ニオイの元となるシンナーの分類や特徴


水性塗料の「うすめ液」である水には種類がありませんが、油性塗料のシンナーには沢山の種類があります。
シンナーの種類を「ニオイ」の強弱で分けて簡略化下のが下記の表です。

ニオイ

シンナーの分類

特徴

弱い

塗料用シンナー
(ペイントうすめ液)

一般住宅の外壁塗装でもよく使う塗料に用いられる
専門的には【弱溶剤塗料】用のシンナー
灯油に使い成分

強い

ラッカーシンナー
アクリルシンナー
ウレタンシンナー
エポキシシンナー
その他専用シンナー

一般住宅の外壁塗装ではほぼ使われる事が無い
バルコニーやベランタ゛の防水工事では使われる場合もある
専門的には【強溶剤塗料】用のシンナー
マニキュアの除光液はこちらの系統



一般的に言われている塗料のニオイによる不安

ペンキのニオイによる不快感

外壁塗装をする時に油性塗料を塗りたい場合に、ちょっと心配なのがニオイの度合いです。
ニオイへの感覚は個人差に大きく影響を受けますが、一般的に困ってしまうポイントの多くは下記のような症状です。

  • 気分が悪い
  • 頭痛
  • 食欲不振
  • 目がしょぼしょぼする
上記のような症状を感じたら、まずその場にはいられません。
それ以上の不快感があれば危険ですから、その場から移動(避難)しましょう。

近隣への影響はどの程度なのか

ニオイが出る塗料を使って心配なことと言えば、近隣への影響があります。

一般的にはお互いの敷地境界が歩ける空間が無い場合(家の外壁と外壁が1メートル以上離れていない場合)には注意が必要です。
家と家が離れていればシンナー臭は届く前に風に乗って飛んでいってしまいます。

しかし、敷地の間隔が狭い場合には敷地の間でシンナー成分が空気中に留まってしまいます。
するとお隣の室内にもニオイが入ってしまうでしょう。

風通しが良い環境と、そうでない場合にはニオイの影響がだいぶ違うと言えます。

一般的には知られていない油性塗料のニオイの特徴


油性塗料で外壁塗装をする時に出るニオイに関することで、あまり知られていない影響や特徴には以下のようなことがあります。

外を塗っていてもニオイは室内に入る

油性塗料を塗る時にいつも皆さんがおっしゃる事が「窓を開けないから大丈夫、臭わないよ」ということ。
ところが不思議と窓をいくら閉めていてもニオイは室内に入ってきます。

そして、塗装工事中はなかなか換気が出来ない状況です。
塗装中は窓を開けようと思っても、ビニールシートで塞がれているので換気がしにくくなっています。
また、換気しようと換気扇を回す場合に、タイミングによっては外から取り入れた空気にシンナーが含まれていると、余計に臭くなってしまう場合もあります・・・。

ニオイは1階に溜まるので注意する

気体になったシンナーを含んだ空気はその他の空気より重いという特徴があります。
この特徴による影響で、室内に入ったニオイは2階より1階で強く感じられます。
また、壁の外側でも1階廻りにシンナーを含んだ空気が滞留しているため、2階の方が澄んだ換気との換気が早く行えます。


ニオイに注意したい家の廻りの環境

ニオイが気になってしまうケースはどの家でも均一ではありません。
下記のような家の周りの環境の場合には少し注意が必要で、もしかしたら油性の塗料は控えた方が良いのかもしれません。
  • 家の敷地が奥まった旗竿地で、風通しが悪い
  • 東西南北の各近隣との敷地が狭く、風通しが悪い
  • 近隣含め3階建て以上の建物に囲まれていて、1階部分の風通しが悪い
  • アパートや賃貸物件・お店・自宅の仕事場が1階にある

ニオイに注意したい室内の環境

家の外側で無く室内の環境でも注意しておきたいポイントがあります。
  • 二世帯住宅で1階の世帯(外壁塗装中は2階で就寝するなどを検討する必要がある)
  • ペットのケージが1階にある場合(人は1m以上の高さに鼻があるが、ペットは低い位置で呼吸しているため)
  • ベビーベッドが1階にある
  • 寝室が1階にある
出来るだけ2階以上で就寝することが出来れば、あらかじめ考慮しておいた方が良いでしょう。



シンナーのニオイでペットへの影響はある?

上記ではペットの件に触れましたが、実際にはペットの具合が悪くなったり、ぐったりしてしまったといったケースは今のところ花まるリフォームではありません。

だから大丈夫とは言えませんが一つ誤解があるとすれば、動物の鼻が利く・ニオイに敏感というのは人間に比べて何倍も強くニオイの刺激を感じてしまうのとは違うという事のようです。

ただ、ペットの方が身体が小さい分影響を受けやすいでしょうし、「臭くて耐えられない」と伝えるのも難しいでしょうから、念のため体調管理には気を付けてあげて下さい。

外壁塗装とニオイの一般的な解決策

外壁塗装とニオイの問題で一般的な解決策とされているのは下記のような部分です。

外壁の塗料は水性塗料を使う

ニオイを避けるために一番良い方法は、ニオイのしない水性塗料を塗る事です。

特に外壁用の塗料に限っては水性塗料で対応が出来る場合がほとんどですので、わざわざニオイのする油性塗料を選ぶ必要は無いのかもしれません。(ただし、全ての条件で水性塗料が対応できるとは限りません)

※その他の部分(屋根・細部)に関しては水性はあまりお勧めできません。(下記に書きます)

換気をする

油性塗料を塗る場合にはニオイがこもりがちなので、十分換気を行うことです。
その際には、空気の入り口を2階や3階、天窓等から入れて、1階に換気扇があればそこから排気出来れば良いでしょう。

扇風機やサーキュレーターで強制換気が出来れば良いアイデアですが、かえってニオイを撒き散らす可能性もあるので注意が必要です。

※ 空気清浄機ではニオイは取れない(2017年現在)

空気清浄機は名前からするとニオイも取ってくれそうですが、残念ながら塗料のニオイを無臭化する事は出来ないようです。




とは言え...ニオイが出てしまっても油性塗料を塗りたい場合もある

さて、上記の解決策「水性塗料を使うこと」で全てが対応出来れば、塗料のニオイについて悩むことは無くなります。
しかしそうも行かないので、油性塗料の出番が無くなりません。

それはどんな状況なのでしょうか?

お客様の意向で、水性より油性塗料で塗りたい場合

油性塗料を塗る場合で一番多いのは、お客様が油性塗料を塗りたいからという理由です。
お客様が選ぶ理由は・・・
  • 何となく油性の方が良さそう(やっぱり油性でしょう!)
  • 水性塗料は弱そう(雨水で流れちゃいそう...※注:そんな事はありません)
このような「印象」の部分です。

「ペンキは臭う」という部分と共通しますが「ペンキは油性」というのも固定概念として根強いものです。
基本的には正しいので、ニオイを我慢できるお客様の場合にはより良い選択になります。

下地の状況により下塗り(シーラー)に油性塗料を使わないといけない場合

塗装を行う場合の塗料は、自由に選べる部分とそうでない部分が出てきます。
また言い方を変えれば、間違った選択で塗られてしまう場合も実際は多いものです。

例えば塗料の選択に悩まなくて良い簡単な下地なら良いのですが、中には塗料の選択に悩むような下地があります。

特に下記の外壁で15年以上塗装をしていない場合は、下塗りで油性の塗料を塗る必要が出てきます。

  • ジョリパット/ベルアートなど、珪藻土風仕上げ(南フランス風?)の外壁
  • モノプラル外壁
  • 石材調吹き付け仕上げ

ニオイが出るのは分かっていても、あえて油性塗料を使うメリット 


油性塗料の方が性能が良いから

ニオイが出る油性塗料が無くならないのには理由があります。
それは主に油性塗料にしか出来ない性能があるからです。

もしもニオイさえ気にしないで良い条件なら、油性塗料の方が性能が高いのは間違いありません。
つまり、状況や環境が許せば下記のような性能の良い塗料を塗る事が出来るのです。

油性塗料と水性塗料の基本的な違い

油性塗料と水性塗料の違いにはどうにもならない基本的な部分があります。
それは、1粒1粒の大きさです。

油性塗料の粒は小さく、塗膜は敷き詰めた砂場の砂のような感じです。
水性塗料の粒は大きく、塗膜は敷き詰めた砂利のような感じです。

塗料を塗った時に、油性より水性の方が厚く塗れる感じがするのはこのためです。

油性塗料は剥がれにくい

塗料の性能の第一条件は剥がれない事です。
剥がれない=いつまでも付いている=密着力が良い...という事になります。

粒が細かい油性塗料は、塗る対象物に対してピッタリ奥まで食い込む事で何も工夫しないでも剥がれにくくなっています。
粒が大きい水性塗料は、塗る対象物との接点が少ない中でも技術的な工夫で密着力を強化して剥がれにくくなっています。

コストパフォーマンスが良いから

簡単に言うと、水性塗料には「ニオイ消し代金」が加算されています。

上記のように、そもそも塗料として適した素材なのは油性塗料です。
水性塗料で油性塗料と同じ性能を持つ塗料を作れるならば、最初からそうしている筈です。

ですから、苦労して・工夫して・頑張って...経費を掛けて作るのが難しい水性塗料を開発しています。
油性塗料と同等の性能をニオイを出さずに製品化するにはその分コストが掛るのは当然です。

多色刷りサイディング(多彩色サイディング)のクリヤー塗装をしたい場合

多色刷りサイディングは2017年時点で新築のサイディングでは一般的に使われています。
この外壁はその風合い見栄えを維持しようと思うとクリヤー塗装をしなくてはいけませんが、一般塗料メーカーで発売しているサイディング用のクリヤーの塗料にはニオイのする油性塗料しかありません。
(一部の特殊なメーカーにはあるのかもしれません)

もしも今、多色刷りサイディングのメンテナンスをする時期に来ている場合、選択肢は以下の通りです

  1. 一般塗料メーカーから出ている油性塗料を塗る
  2. クリヤー塗装は諦めて、単色塗りの水性塗料にする
  3. クリヤーの水性塗料を特殊な塗料メーカーの中で探す
  4. クリヤーの水性塗料が一般塗料メーカーから出るまで待つ

おおむねの方が(1)の選択肢になり、中には泣く泣く(2)を選ぶ方がいるでしょう。
(4)の選択肢は、外壁が傷んでしまう恐れがあり、ほぼ却下です。

油性塗料の本当のデメリット

さてここまでで、ニオイが出てしまう油性塗料の影響や特徴についてお分かり頂けたかと思います。

それを踏まえて【油性塗料を使う本当のデメリット】と言うか...
【油性塗料を使うと、本当は誰にデメリットがあるのか?】をお伝えしましょう。

油性塗料を使うデメリットがあるのは営業マン

油性塗料を使うとニオイの件でお客様からクレームが来る恐れがあるので、実は営業マンの方にデメリットがあります。
  • 家がペンキ臭くてたまらない
  • 気分が悪くなった
  • こんなに臭うと思わなかった
  • ヒドイ!何とかして!!今すぐこのニオイを消して!!!

といった、クレームに繋がりかねないからです。

クレーム回避の為に油性塗料を使わない業者で良いのか?

「ニオイ」によるクレームが起きると、業者的にかなり困った事になるので、現状外壁塗装を頼める業者の中で、油性塗料を取りか使っているのは少数派になっています。
特に大手になると、ニオイによるクレームを恐れて水性塗料しかラインナップに入れていない会社がほとんどです。

ニオイの件は、水性塗料を塗っておけば絶対回避出来ますから、何もわざわざクレームに繋がる危険な油性塗料を取り扱う必要は無いとも言えます。
築年数も浅く、特殊な外壁材を使っている訳では無いような、水性塗料でも十分対応が出来る条件の整ったお家の塗り替えであれば問題は無いでしょう。

しかし、それで解決してしまって良いの???と言うのが個人的なところです。


ニオイの問題は事前の説明によりクリアー可能

ニオイの面は確かに無いに越したことはありません。
お客様は工事中に不快な思いをせずに済みますし、業者はそれによるクレームが起きません。

しかし、業者がお客様に選択肢を伝えずに話を進めてしまう場合が多いのは問題です。
これには3つの側面があります

油性塗料を使いたくない業者の事情

  • 油性塗料があるのを知りながら、クレーム回避のために勧めない
  • 水性塗料と油性塗料の性能が本当に同じだと信じてしまっている
  • 油性塗料があると知らない
塗装が専門では無く、詳しくも無い業者が外壁塗装工事を受注しようとすると、取り敢えず安全な水性塗料を勧めておこう...という事になりがちです。

ニオイの出てしまう塗料が必要かを必要に応じて選べるようにするには?

お客様は塗装について分かる筈も有りませんから、水性塗料を推されたら「そういうものか」と納得してしまいます。
しかしそれが工事を請ける側の事情で決められたくはありませんよね。

業者にはプロとしてお客様に必要な工事を提案する知識や経験を持っていて貰わないと困ります。
そして、可能な選択肢の中からヒアリングを行い、そのお客様に合わせて「どんな工事が必要で、それにはどんな塗料を使ったら良いのか」を下記の手順で一緒に探って行く事が大切です。

  • お客様にとっての現状の課題と要望を絞り込む
  • 上記を解決する工事の方法と塗料を選ぶ
  • 工事の過程で起こり得ることを確認する

上記を行うと、1つ1つのメリット・デメリットを確認しながら、最後はお客様自身で最良の選択が出来るようになります。
不勉強や自社都合で工事内容や使う塗料を決められてしまうと、思っていたのと違う結果になってしまいます。


まとめ
① ニオイの程度は下地次第
② ニオイの感度は人それぞれ
③ 油性塗料を選ばせない業者には頼まない


最後に大切なことをまとめておきます。

塗料の性質について

  • 塗料には、油性塗料と水性塗料がある
  • 油性塗料を塗ると、シンナー成分のニオイが出る
  • 水性塗料には対応できる場合と対応出来ない場合がある
  • 下地の状況により、油性塗料しか塗れない場合もある

油性塗料のニオイの特徴について

  • シンナーには多数の種類がある
  • ラッカー系など強く、臭いのきついシンナーは【強溶剤】といい、一般塗料などの弱く、臭いの少ないシンナーは【弱溶剤】という
  • 外壁を油性塗料で塗ると、窓を閉めていても室内にニオイは入ってくる
  • 塗料のニオイは重いので、塗装工事の際には1階に溜まりやすい
  • 1度入ったニオイはよく換気をする他に解消の方法が無い
  • 家の廻りが密集していると、家の廻りに漂っているニオイがいつまでも臭い場合がある
  • ニオイの感度は人それぞれなので、事前に分かろうとするのは難しい

塗料の選択について

  • 油性塗料がクレームに繋がるのを恐れてラインナップに入れていない業者がいる
  • 家の周囲の環境的に、ニオイの無い水性塗料を勧めた方が良い場合もある
  • 2世帯住宅・幼児のいる家・室内ペットのいる家で油性塗料を選ぶ場合には、ニオイを考慮する必要がある
  • 油性塗料を塗る場合は上記の特徴を踏まえて「ニオイ」に対して十分な心構えを持って頂くことが重要
  • 塗装工事が無事終わって、ニオイの面で問題が無ければ、その後の塗装面は水性塗料を塗った場合よりも油性塗料を塗った場合の方が確実にコストパフォーマンスは良い結果となる。

最後に


少しニオイの件から脱線した部分もありますが、外壁塗装工事は、やり直す訳には行きませんから業者選びも工事内容選びも慎重に行いたいものです。

そしてこの記事が「油性塗料の塗りたいけれどニオイが心配だった」という方の役に立てたら嬉しいです。

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