バルコニーFRP防水の正しい塗り替えの方法
- 投稿日:2016年 12月31日
- テーマ:外壁塗装の不具合と対処法
今回は、バルコニーFRP防水のメンテナンスの方法の中から【トップコートの塗り替えの正しい方法】という一番ベーシックな工事についてお伝えします。
バルコニーや屋上のFRP防水にも外壁の塗装や屋根の塗装同様にメンテナンスが必要なのですが、あまり知られていないのが実情です。外壁塗装の時に同時にメンテナンスや補修の必要が無いかをチェック出来れば良いのですが、一般の業者では不勉強なのか工事が面倒なのか、チェックすらしていない場合も多いようです・・・。
そこでここでは一般の方向けに、バルコニーや屋上のFRP防水メンテナンスはどんな場合にどんな工事が必要なのかを解説し、必要があれば工事を依頼出来るように解説をします。
1. バルコニーFRP防水とメンテナンスの特徴
1-1. バルコニーFRP防水のメリット
バルコニーの床をFRP防水にすると木や鉄のように錆びたり腐ったりしない為、メンテナンス性に優れている特徴があります。
またはFRP防水の床にすることで、バルコニーの外壁を外壁と同じ素材に出来るので外観を御洒落にスッキリとしたデザインに出来ますし、さらにその腰壁で外部からの視線を遮ることが出来るのもメリットになります。
1-2. バルコニーFRP防水のデメリット
ところが、このFRP防水の床が本格的に使われ始めてから約20年程しか経っていない事と、FRP防水の寿命が比較的長い事から、最近になってようやく改修工事が頻繁に行われるようになってきました。
「最近になってようやく」という事は、まだまだ不慣れな業者や職人が多く、当然営業マンや現場監督は良く分かっていない場合も多いのです。
1-3. バルコニーFRP防水のメンテナンス方法の5段階
バルコニーFRP防水のメンテナンスは、下記の5段階の改修方法があります。
今回の解説は1番目の項目になります。
- 劣化が少なく補修不要の場合 :【トップコートの塗り替え塗装工事】
- 部分的に補修箇所がある場合 :【FRP(ガラス繊維)の部分貼り補修】
- 部分的補修が全面にある場合 :【FRP(ガラス繊維)の防水層全面張り直し】
- 防水の下地から改修する場合 :【ベニヤ下地の改修とFRP防水の全面張り直し】
- 雨漏りなどの改修を含む工事 :【それぞれの目的に合わせた工事】
2. トップコートの塗り替えで済む劣化の状態【4事例】
では、今回お伝えする【トップコートの塗り替え塗装工事】で済む下地とはどの程度の状態なのでしょうか。
主な4パターンをお伝えします。
2-1. FRPの表面に経年劣化による退色がある場合
2-2. FRPの表面にハガレがれがある場合
2-3. FRPの表面塗装に経年劣化が生じている場合
2-4. FRPの表面塗装がヒビ割れている場合
3. FRP防水のトップコートの塗り替え工事の方法
上記のような比較的軽微な劣化状況で塗り換えておくのがFRP防水の改修方法としては一番ベーシックなものです。
そんな【トップコートの塗り替え塗装】を工事の工程順に解説します。
3-1. FRP防水の診断
南面2階バルコニー屋根 |
似たように見える黒ずみですが、奥の方は単なる汚れでした。手前の方をよく見るとFRPのトップコート塗装が剥がれて下地が出ていました |
この程度のハガレの場合はトップコートの塗り替えでも対応が可能です。 |
3-2 . 高圧洗浄
FRP防水トップコート塗り替えの手順 |
3-3. 電動グラインタ゛ーによるFRP表面研磨・目荒らし(ケレン)
FRP防水トップコート塗り替えの手順 |
この後塗るプライマー(JU-70)を使えばこの工程は不要という事になっています。
では、なぜこの工程を行うかと言うと、以下の3点の理由があります。
- 剥がれている所の周囲を削らなければいけない
- 剥がれ掛っているところが他にもある可能性があるので確認しなければいけない
- 手間を省くより確実な工事を行うため
3-4. アセトン拭き掃除(油膜取り)
※アセトンは揮発性が高く強い引火性があり、危険物として取り扱いが定められているため簡単には買えません。
一般の方は手に入れられませんので仕方が無いのですが・・・
- 安価で請け負う営業マンに工事をさせられる下請け業者
- 経験が無く安易に請け負う工事業者
このような業者だと上記の研磨と、このアセトン拭きの工程を省いてしまいがちです。
「料理でも工事でも下地(段取り)が大切」と言うように、この工程を省くと後で剥がれの原因になります。
FRP防水トップコート塗り替えの手順 |
3-5. プライマー塗装 ジョリエースJU-70
FRP防水トップコート塗り替えの手順 |
3-6. トップコート塗装 ジョリエースJE-2090
FRP防水トップコート塗り替えの手順 |
トップコートの塗料は各種ありますが、花まるリフォームでは、主に新築時と同じ塗料を使う【本格施工】です。
【本格施工のメリット:寿命が長い、次回も同施工が可能】
【デメリット:工事が難しい・少々高価】
同じメーカーで塗り替え用のトップコートとしてJU-280という水性塗料の【簡易施工】もあります。
【簡易施工のメリット:工事の容易さ=安価
【デメリット:寿命が短い、次回の施工で本格施工に戻せない】
4. FRP防水トップコート塗り替え・完成
バルコニーや屋上床面のFRP防水トップコート塗り替え工事の完成事例です。
この場所は出入りが出来ないばしょなのでフェンスがありませんが、実質的には3階の屋上と同じ環境になります。
2階のバルコニー床とは紫外線劣化の状況が違いますので、見えない部分ですがきちんとしたメンテナンスが必要になります。
5. バルコニーFRP防水のメンテナンス まとめ
バルコニーFRP防水のメンテナンス改修工事には、いくつかの方法や工事のグレードがあります。
それにより規模や手間の掛り方にも違いがあり、当然工事価格にも反映されます。
見積りを取った時に、皆様にはその工事の内容や違いが分からないので比較検討が適切に出来ない場合があります。
今回の工事は一番ベーシックな「トップコートの塗り直し工事」です。
このように少々の剥がれや全く剥がれていないが表面の劣化・退色などによる表面保護のやり直しでも5回の工程が必要です。
これが、雨漏りしている場合や表面が激しく剥がれている場合では5工程では終わらずに、防水工事以外にも雨漏り箇所の修理(大工工事)も必要になって来ます。
今回のように状況に応じた適切なメンテナンスを行うことが家を長持ちさせるコツになります。
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