コケが生えている外壁の塗り替えについて知っておきたい事


コケが生えている外壁の塗替えについて

外壁塗装のきっかけの中でもトップ3に入る「コケ汚れ」

せっかく外壁の塗替えを行うなら「今度はコケの生えないような塗装にしたい」ですね。


そこで今回は、コケの生えた外壁を塗り替える時のポイントや注意点について解説をしていきます。

家の向きや風通し、樹木などの環境は変えられませんが、外壁を塗り替える時には塗料を選べます。そこで今回は、コケの生えた外壁を塗り替える時のポイントや注意点について解説をしていきます。

コケの生えにくい外壁で塗ることは難しくありませんが、デメリットもあります。
その点も注意して読んでもらえれば、塗料選びの失敗も無く満足いく外壁の塗料選びが出来ますので是非参考にしてください。
(※注...このコラムでは「コケ」と表記していますが外壁の緑色の植物は地衣類」という菌類と藻類の共生生物で、実際にはコケとは違います。詳しくは→Wikipedia「地衣類」をご参照ください)

目次
  1. コケの生えやすい外壁と生えにくい外壁

  2. コケの生えやすい【艶消し外壁】とは?

  3. コケの生えにくい外壁は「艶有り」

  4. コケの生えにくい外壁に変更した時の注意点

  5. まとめ 選択肢は2択:コケを取るか風合いを取るか?



1・コケの生えやすい外壁と生えにくい外壁


一般住宅の外壁には、いくつもの種類がありますが、新築の時に「コケの生えやすさ」で外壁の種類を選ぶ方はあまりいないと思います。数年経った後でコケが目立ってきた時に初めて「何でウチの外壁にはご近所よりもコケが生えてしまうのだろう?」と気が付くことが多いようです。

なぜ築年数が一緒でもコケの生えてしまう家とそうで無い家があるのでしょうか。
それは環境的要因もありますが、そもそも外壁の種類によって「コケの生えやすい外壁」と、「コケの生えにくい外壁」があるからです。

その法則を簡単に言うと・・・

  • コケの生えやすい外壁・・・艶消し塗装の外壁
  • コケの生えにくい外壁・・・艶有り塗装の外壁

・・・となります。

ただ、皆さんにはどの外壁が「艶有り」か「艶消し」か、ちょっと判別しにくいと思います。

そこで以下の写真を見ながらご自宅の外壁がコケの生えやすい外壁なのかどうかを確認してみて下さい。



2・コケの生えやすい【艶消し外壁】とは?


リシン吹き付けのコケ石粒が砂壁状になっている外壁 P2170926.jpg石粒がパターンを作っている外壁

コケの生えやすい外壁は艶消し外壁です。
艶消し外壁の特徴をまとめると以下のようになります。

  • 表面に石の粒がある(ザラザラしている)
  • 触ると痛い
  • 水を掛けると染み込んでしまう
  • 汚れやすいという誤解がある
  • チョーキング現象が起きない
  • コケが生えやすい

実は都内近郊で建っている新築住宅では艶消し外壁の方が多い気がします。ですからコケが生えているのが気になって外壁塗装を検討する方は今後も増えていくと思います。
では、コケの生えやすい「艶消し外壁」の代表的な2種類の塗料をご紹介しましょう。

2-1・コケの生えやすい艶消し外壁 ①ジョリパット

「ジョリパット」というのは一般名称やカテゴリー的に使われることもありますが、実際はアイカ工業の外壁材の商品名です。
その他のメーカーも同様の製品を出していますがこのカテゴリーの元祖なので一般名称的に「ジョリパット」と呼ばれています。(※他には「エスケー化研のベルアート」や「菊水化学のグラナダ」などがあります)

ジョリパットの大きな特徴は【艶が無い】こと、そして【多くの風合いやパターンが可能なところ】です。そのため玄関廻りや外壁の角などにアクセントとして使われたり、ジョリパットの違うパターンを組み合わせて外壁をデザインすることも多いです。

パターンが多すぎるので、これが「ジョリパット外壁です」と示しにくいのも特徴なので、少し多いですが下記写真を参考にご自宅の外壁と似たものがあるかご確認ください。

ジョリパットリップル(コケの生えやすい外壁)ジョリパットリップル ジョリパット校倉(コケの生えやすい外壁)ジョリパット校倉
ベルアートグラス押さえ(コケの生えやすい外壁) ベルアートグラス押さえ ジョリパットゲラーデ(コケの生えやすい外壁) ジョリパットゲラーデ
ジョリパットアヤメランダム(コケの生えやすい外壁)ジョリパットアヤメランダム ジョリパットワイルドランダム(コケの生えやすい外壁)ジョリパットワイルドランダム

2-2・コケの生えやすい艶消し外壁 ②・リシン吹き付け

リシン吹き付けは、外壁の吹き付け材として最も歴史のある仕上げ材です。
ジョリパットと違い、リシン吹き付けは「細かい石粒が均一に吹き付けてある」という1パターンなので分かりやすいです。
(ただしジョリパットで「リシン吹き付け風」のパターンもあります...)

下記写真を参考に、ご自宅の外壁がリシン吹き付けなのか確認してみて下さい。

リシン吹き付け①(コケの生えやすい外壁)

リシン吹き付け

リシン吹き付け②(コケの生えやすい外壁)

リシン吹き付け(拡大)


2-3・艶消し外壁にコケの生える理由

では、艶有りの外壁と比べて艶消しの外壁には、なぜコケが生えやすいのかを簡単に解説しましょう。

艶消し外壁の特徴は、「石粒と塗料」が混ざっている点です。石粒と石粒の間には若干巣穴があり、雨水が奥に浸透します。浸透した水分は「呼吸をするように」出たり入ったりします。
つまり、艶消し外壁の最大の特徴は、雨水を弾かない点です。

よく、水を弾かないと雨漏りしてしまうのでは?というご質問を受けます。しかしそうであれば今建てている新築で採用されることは無いはずですね。実際には壁の中に入っている透湿防水紙との組み合わせによって防水の設計が考えられています。(外壁にヒビが入ってもすぐ室内に雨漏りしないのは、この防水紙のおかげです)

2-4・コケの生えやすい条件

外壁に主にコケが生えやすいのは主に北側の外壁になります。
そしてさらに、以下のの条件が揃ってしまう場合にコケが生えやすいようです。

  • 軒先が無い建物だと、雨水や水分が外壁に直接当たり、水分が沢山吸収されなかなか乾かない
  • 樹木が近くにあると、毎日放出される水分で雨が降っていなくても外壁が濡れてしまう
  • 北側など風通しの悪い部分では湿気がこもってしまう
外壁の北側一面にコケが生えてしまっている例

外壁の北側一面にコケが生えてしまっている例

エアコンの室外機に跳ねた雨水が外壁を常に濡らす事に

エアコンの室外機に跳ねた雨水が外壁を濡らす場所


3・コケの生えにくい外壁は「艶有り」


結論は既にお伝えしてありますが、コケが生えにくい外壁は「艶の有る外壁」です。
ただし、艶消し外壁を艶有り外壁に変更する時には「今までと違う事」も出てきます。(それは後程お伝えします)

ただ、ここでお伝えしなければならないのは、艶有り外壁は年数が経つと必ず艶が消えてしまう事です。
築7年を超えたあたりから、元々艶が有ったのか無かったのかが分かりにくくなってしまいます。

下記写真を参考に、ご自宅の外壁がそもそも艶有り外壁だったのかを確認してみましょう。

2-1・コケの生えにくい「艶有り外壁」の種類

吹き付けタイル外壁

吹き付けタイル(押さえ柄)

雨水を弾く「防水型」の吹き付け塗装の代表格です。20年~30年くらい前に大流行しました。
「タイル」と言っても「磁器タイル」とは別物です。

吹き付けタイル(吹き放し)外壁

吹き付けタイル(吹き放し柄)

吹き付けの粒を小さく調整した小粒柄。
基本は「押さえ柄」と同じです。

RIMG1786.jpg

サイディング外壁(クリヤー塗装)

PC252080.jpg

サイディング外壁(単色塗装)


4・コケの生えにくい外壁に変更した時の注意点


コケが生えてしまった外壁を塗り替える際には、いくつかの注意点があります。
それは、艶消し外壁のメリットを捨ててしまう事でもあるからです。

その艶消し外壁のメリットを諦めて艶有り外壁を塗る事で、コケの生えにくい外壁にする事が出来ます。

4-1・艶消し外壁のメリット

P6250632.jpg

では、艶有り外壁のメリットとはどんなものがあるのでしょう。
後悔の無いように、念のためおさらいしておきましょう。

  • 艶消しの風合いが良い
  • 高級感がある
  • 全体がボンヤリ汚れるので、実は汚れが気にならない場合もある
  • 雨水が全部流れないので、窓枠の下ばかり汚れることが少ない

このメリットはおおむね新築時に艶消し外壁を選んだ理由でもあります。

4-2・艶有り外壁のメリット

では逆に、艶有り外壁のメリットとはどんなものがあるのでしょう。
こちらもきちんと確認しておきましょう。
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  • 雨水を弾く
  • コケが生えにくい
  • 洗浄機等があれば洗える
  • 雨で汚れを洗い流せる
  • 壁が輝いて気持ち良い
  • 色にメリハリが付きくっきりする
このように艶有り外壁の魅力は、何と言っても雨水を弾き染み込ませない事です。

4-3・艶有り外壁に変更した時に今までと変わってしまう事

そして老婆心ながら、艶消し外壁を艶有り外壁で塗った後で変わってしまう部分もお伝えしましょう。
ここまで理解しておけば、後はどちらかのメリット・デメリットを考慮して後悔の無い選択が出来るでしょう。

  • 太陽が当たるとキラキラ・ピカピカと壁が光って見えるようになる。
  • 雨水で外壁は洗われるが、窓枠の下には雨の汚れ筋が付いてしまう。
  • 光線の具合によって、壁の陰影が目立つようになる(塗装ではなく、モルタルの凹凸ムラが目立つ場合がある)

以上の3点が艶消し外壁から艶有り外壁に変わった時に「今までと違う!?」と気が付く部分です。
これらの部分を知っておけば安心です。


5・まとめ 選択肢は2択:コケを取るか風合いを取るか?


いかがでしたでしょうか。
築10年~15年程度の外壁塗替えを検討される時期のお家では、ジョリパットを使った艶消し外壁のお家が多いようです。
環境によってコケが生えてしまうお家もあれば、すぐ隣のお家では全く生えていない・・・といったこともあります。

このコラムは実際に花まるリフォームで塗り替えをご検討されているお客様にお伝えすることをまとめてあります。
この部分までお伝えして、後はお客様のご判断でどちらの艶で塗るかをご検討頂きます。

その結果、艶有り外壁に変更して塗り替えられる方は以下のような感じです。

  • コケが生えるのが何が何でも嫌な方
  • 外壁がピカピカした感じになっても、あまり気にならない方

逆に艶消し外壁を再度選ばれる方は以下のような感じです。

  • どうしてもピカピカした外壁が嫌な方
  • また10年程度でどうせ塗り替えるのだから、今までと同じ風合いが良い方

コケか?風合いか?
どちらを取るかの2択で選んで頂くようにはなりますが、ここまでお話しするときちんと納得して選ぶ事が出来るのではないかと思っています。

是非参考にしてみて下さい。


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